旅の同志(北アルプス縦走前編)

2005.8.11~14

前線が、関東上空に停滞していた。
今回の山旅は4日間をかけて、表銀座を通り、槍ヶ岳を目指し、大キレットを越えて奥穂高まで縦走する計画だ。
はたして、天候的に吉と出るか、凶と出るか...。


中房温泉から合戦小屋を進むと、燕岳が見えてくる

山を登る時は、いろいろなことを考える。
身近なものについて考えていた。

多くの答えは(それが答えではないにしろ)、自分のすぐそばにあるのではないか、と最近思う。
例えば、普段は見慣れているものだったとしても、それが実は自分にとって大切なものであったり。
身近であればあるほど、大切だったりする。そうで有りたいし、そうじゃなくてはならない。

そんなこ事を考えながら、足を進めていると、燕山荘に着いた。
意外と早く着いたが、朝の時点で青空であった空が、どんよりしたものに成ってきた。
燕岳は、横から見るのと、前から見るのでは全然違う。
山に前、後ろがあるのか分からないが、とにかく違う。


燕岳

燕山荘にバックパックを置き、目の前に見える燕岳の山頂に登る。
所々、奇妙な形の岩があるのが、これは風化して出来たものらしい。


燕岳山頂付近から。眼鏡岩の後ろに表銀座の稜線が見える。


ここは不思議な国のアリスと言った感じだ。
さすがにウサギは出てこなかったが、歩いているとライチョウの子供3兄弟と、母鳥が通り過ぎた。
人間にはあまり驚かないらしく、結構近くまで寄ることが出来る。


ライチョウを見る機会は多かった


ライチョウ3兄弟がチョコチョコとあっちへ行ったり、こっちへ行ったりで、母親も大変そうだ。


この指の先に、槍ヶ岳が見えるよ

残念なことに、天気が悪くなってきた。小雨も降ってきた。
せっかく槍ヶ岳が常に見えるポイントだが、ガスで隠れてしまう。


大きく見える大天井岳

少し燕山荘で休み、表銀座の稜線を歩き、大天井岳を目指す。
表銀座とは言うものの、他の登山者は少ない。
ここの稜線が常念岳の稜線に似ているのは、同じ常念山脈だからだろうね。
けっこう歩きやすい稜線だが、右手に見える槍ヶ岳などの風景がガスで見えないのは、非常に悔しいのだ。

”大天井”と書いて、オテンショと呼ぶ。
だがダイテンジョウと言った方が、イメージが伝わるし格好が良いと思う。
まあ、その辺は好みだろうけど。
その山頂の少し下にある、大天荘を目指す。


途中に猿の群れに会う。この辺りは猿が多い。


切通岩。ここまで来ると、あと少しで大天荘だ。

一日目は緩やかな稜線を歩くので、さほど疲労感はない。
大天荘に到着したが、泊っている登山客はそれほど多くない。
次第に雨が強くなってきた。屋根に打ち付ける音が大きくなる。
やはり前線の影響が出ているのだろうか、関東全域でも大雨注意と警告されている。
参ったなあ...。

夕方のニュースで、白馬岳で雪崩が起きたと報じられていた。
3人ぐらい行方不明者が出たらしい。白馬岳は先月に登った所なので、まさかと思ってしまう。
きっと雨が大量に降った為だろう。

山荘の外は土砂降りだし、この悪いニュースで、明日は下山するかどうか考えた。


2日目の朝

夜が開け、雨も小雨になってきた。下山も考えていたが、何とか予定通り行ける。
しかし霧が立ち込めていて、それが取れるのを祈り出発。


喜作新道~東鎌尾根へと

常念山脈と槍穂連峰との、山脈から山脈への移動だ。
ここでも、ガスが無く視界があれば、槍ヶ岳が目の前に見える。
その分、山脈にこびりつくようにガスが停滞しているのが、非常に残念だ。
こんな所まで来て...。

頭上には太陽が見えているのだが、時折小雨が降ったりするので、レインジャケットを着たり脱いだりする。


前に見えるのは常念岳。この後雨が降ってきた。

東鎌尾根は、長いハシゴがあったり、断崖絶壁の場所があったりする。
いったん標高を落とすので、すこし寂れたルートという感じがする。
そう思うのも、雨や霧のせいかもしれない。
とにかく、頭にフードをかぶると視界が悪くなるから、あまり着たくはないのだが。


槍沢

このまま行けば槍ヶ岳まで行ける。
しかし、槍ヶ岳山荘は前に使ったので、その手前のヒュッテ大槍に泊ることにする。
霧が漂う中、そのヒュッテ大槍にたどり着いた。


ヒュッテ大槍にて。窓の外は霧で何も見えない。

まだ日も高く、かなり早く山荘に着いた為、やることが無くすぐ寝てしまった。
なぜか知らないが、よく眠れた。

明日の天気を気にしても仕方ないので、食堂に行き本を読む。
ステレオ装置があったから、ビートルズのホワイトアルバムを聴いたりしていた。

山荘には何人か登山客がいた。
やはり天候で足止めをされたのか、気落ちしているように感じる。

明日槍ヶ岳を目指す夫婦。それと、何と単独で縦走をしている女の子。
彼女は主にテント泊だが、雨で山小屋を利用していた。
これから、数日かけて立山の方まで縦走するみたいだ。
どうも女性の方が行動力があるみたいで、これには少し驚いた。

それと異様に明るかったのが、韓国人のパーティーだった。
こんな天気なのに、良くそんなハイテンションになれるなと思った。

夕食は、山小屋にしてはかなり質の高いもので感心した。
新鮮なサラダやワインとかも出て、ちょっとしたディナーだ。
今回はどの山荘でも食事は大変美味しかったし、小さめの山荘のほうが気配りが効くみたいだ。

夕食を済ませ、また本を読んでいると、先ほどの韓国人に声をかけられた。
仲間の一人が今日誕生日らしく、ぜひ一緒にと言うことだった。
通訳の方を通していろいろ話してみたら、クライミング仲間で今回初めて日本に来たという。
韓国にはあまり高い山が無いらしく、山の技術は日本から、という事だ。

たしかに、日本アルプスは外国人にとっても魅力があるのだろう。
向こうの焼酎を振舞ってくれたり、なかなか友好的だ。
彼らは後日、大キレットを目指すらしい。我々と同じだが、やはり天候が気になる。
それにしても、個々としての友好関係は、ノーボーダーと言っていいのかもしれない。
韓国に来た時には「是非」との事だったが、その時はチェ・ジウに会わせてもらいたい。

天気予報では、明日は天気であったが、山の天候は分からないもの。
暗くなった窓の外を見ると、霧で何も見えない。

明日は取れてくれるといいが...。

(後編に続く)

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