ジャンダルム 前編(奥穂高)

2007.8.24

もともとの計画では、3日間を費やして奥穂高(3190m)を登頂し縦走する予定だった。
それが僕の日程の予定で、2日間で登頂することになった。

夏の盆は多少混むだろうとの予想で、日程を次の週に決めた。
いつもの様に前日の夜から東京を出発し、早朝から登山開始だ。
北アルプスは、大キレット越えをして2年ぶりとなる。


上高地からスタート。あの雲の上まで登る。

穂高連峰の中でも、ちょうど真ん中にあるのが奥穂高。
文字通り奥側にひっそりと、そしてどっしりと佇んでいる。

槍ヶ岳から北穂高に架けての大キレットのルートや、剱岳の岩場ルート。
そして、奥穂高から西穂高に架けての尾根は、一般登山ルートの中で最も危険なルートだ。


夏の上高地は避暑地なのだ

悪天候では断念せざる得ないが、日頃の行いが良いのか、朝から夏の青空が広がっていた。
涸沢からザイテングラートでのメジャーなコースでは無く、ダイレクトに登る重太郎新道というコースで登っていく。

森の中はヒンヤリとしていて、汗も掻かずに爽やか登山が続く。

もともと上高地はその名の如く標高は1500メートルなので、関東平野に比べればそりゃ涼しいわけだ。
なんだか今年の夏は、天気だけはバツグンに良い。
相棒は先週のお盆休みの4日間を利用し、雲ノ平へ行ったとの事だったが、その時も好天気だったそうだ。

さらに日は登り、やはり日が当たるところは暑い。
とりあえず飲料水は沢山持ってきたが、その分ザックが重くなっている。
ザックの中身は、半分が食料品だ。
食料品といっても大した食べ物ではなく、アルファ米やインスタント食品とクラッカーなどのお菓子類。
食料とか水はあればあるだけ良いが、それがありすぎても重くなるから、その辺りのバランスが難しい。
それでも、どうしても山の頂上で丸ごとスイカを食いたいと思っている人はいないと思うが。


岳沢のこの辺りはオコジョがいるらしいんだけど

地面が暖まってくる午後に近づくにつれ霧が出てくるのだけれど、この日は逆に雲ひとつなくなってしまった。
その代わりに小さな虫が沢山空中に漂っている。
これが腕とかに止まって、なにやら腕を舐めているみたいなんだけど、コイツの正体は一体なんだろう?

背後にはスタート地点の上高地が、すでに小さくなっていた。
やっとの事で、最初の目的地の紀美子平に到着。
この段階で3000メートルとかなり高く、尾根を見ながら食事をする事に。
ここは前穂高への分岐点となっていて、何組かのパーティーはザックを置いて前穂高に登っている。
韓国の人と欧米人もいたので、なかなかインターナショナルであった。


2日目に縦走する尾根。あんなところ歩けるのか。

結構高いところまで来たのだが、奥穂高の山頂が確認できない。
それにしてもバックにある前穂高と、前にある尾根が何とも迫力的だ。
おまけに右手にはやっと涸沢カールと、チョコンと顔を出した槍ヶ岳が見え始めた。


涸沢カール

その向こうに常念岳などが見えて、おお!北アルプスに来たーと実感する。
だが、肝心の頂上までは後少しある。
このあと少しで頂上だという所が、またきつくて辛い。


やっと頂上が見え出した

息が切れてきて、すかさず水分補給をする。
空には飛行機雲がゆっくりと描かれる。
そして、昼過ぎにやっと頂上に到着。


山頂から望む

重いザックを肩から下ろし、その辺の岩に腰を下ろす。
僕は遠くの槍ヶ岳を望む。
2年前の大キレットでは霧で見えなかったのに、今日はよく見えるのだ。
全く何と豪快でスバラシイ景色なんだ。

たまに強風が吹くが、それ以外は無風状態で穏やかな感じだ。

山頂には数人登山客が居て、絶景に歓喜を挙げていた。
真ん中に祠があって、それが2メートルの高さだから、実際は北岳と同じ高さになるとか。

北側の稜線上には槍ヶ岳の鋭鋒、逆側は明日のルートとなる西穂高やジャンダルムが見える。
なかなか凄そうなルートだが、今は槍ヶ岳を眺めていたいのだ。

そして、その北側の稜線を歩き、今夜泊まる奥穂高山荘に向かう。

山荘には韓国の団体客がいて、どうやら低山しかない韓国では登山ブームらしい。
彼らは団体できているせいか、ワイワイガヤガヤとうるさかったので、何だか日本人は控えめな人種だと思った。
と思ったけど、僕の場所まで占領していびきをかいて寝ている相棒を見ると、そうでもないかとも思う。
まあ、それだけ山荘は登山客で混んでいたのだ。

日が暮れると、やはり寒い。
マキで焚いたストーブが有難かった。

そして、珍しく星空も見えたのだった。

(後編に続く)