中央アルプス縦走

2010.10.17~18

土砂崩れにより、登山道が通行止めとなったのが、最初の計画倒れ。
そしてやっと復旧されたが、天候悪化の為にまたまた延期とした。

それから、やっと空木岳に登るチャンスが来た。
空木岳と書いて、ウツギダケと読む。
中央アルプスの中心的な山頂だ。

登山をする日の天気予報は、どちらも晴れ。
しかし、またトラブル。
いやトラブルと言うか、中央道で交通事故が発生し、長野県の駒ケ根に着いたのは予定より1時間も遅れてしまったのだ。
一日目は、避難小屋に泊まる事になっていたので、少なくとも暗くなる前に小屋に着きたい。
結局、登山道を歩き始めたのは、昼近くになってしまった。


駒が池からスタート

時間を稼ぐために、昼食は殆ど行動食を口にしながら歩いた。
鬱蒼とした森の中を登っていくと、早くも息が切れてきた。
それに、今回は避難小屋を使うために、有る程度の装備をしている為いつもよりザックは重め。

下山してくる人と何回かすれ違ったが、登山開始時間が遅かったため、ペースが遅いのではと心配された。
山は日が傾くと、暗くなるのが早く、最悪コースを外してしまう場合が有るからだ。


ゴールは尖った宝剣岳の下の千畳敷


地図を出し、逆算して到着時間を計る。
到着時間は17時過ぎとかなり微妙な時間帯だ。
夏ならともかく、季節は秋も半ばだ。
くそぉ、やはり計画通りに行かないのは悔しいものだ。

そして、なかなか避難小屋までの登りのルートは長いのだ。
肝心の土砂崩れ遭った大地獄というクサリ場は、クサリが新しくなって全く難所では無かった。
それよりも、コースの長さの方が、まともな休憩を取っていない体には素直に答えた。
おまけに、ザックを背負っている肩や、足の股も痛くなってきた。

utugidake131.jpg
空木岳避難小屋

結局、避難小屋に着いたのは、日が落ちて暗くなってからだった。
小屋の窓から、ほんのりと光が漏れていて、その光は人の暖かさを感じさせた。

疲れと空腹と寒さと足の痛みで小屋に入ると、「あー着いたぁ」と思わず安堵の声を落としてしまった。
先客は2人しか居らず、まさかこんな遅くに来るとは思っていないとの事だったが、温かく迎えてくれた。
兎にも角にも、早く腹ごしらえがしたかった。

バーナーで火をおこし、アルファ米とカップ麺、それにコーヒーを淹れた。
そして今回はスペシャルメニューとして、イワシの缶詰と言うスペシャル3点セットだ。

前日に、イワシの缶詰とスパゲティーでぺペロンチーノを作って食べたのだが、これが結構美味かった。
イワシを混ぜるだけで、これほど美味くなるのかと思わず「おお!」とうなずいてしまったが、もうちょっとイワシが塩からければなおいい。
もちろんアンチョビ缶を入れるのがベストだが、缶詰は何と言ってもその安さで譲れないのだ。

缶詰=重い物と感じるが、持っていく価値はあると思う。
なぜ今まで缶詰を持っていかなかったのだろうと、少し後悔する位美味かったのだ。
と、言うことでカップめん→イワシ→ご飯と、3点カオスをムフムフと愉しみながら夜が更けていった。

さて、心配された山の気温。
空木岳避難小屋は標高2600メーターの所にある。
避難小屋といっても、明かりも無いしストーブもまして水も無い。
まるでヨシイクゾーみたいだが、近くに湧水が有ると言う。
ヘッドライトを照らし重たい扉を開けると、泣きたくなる位寒い。

少し行くと、水がチョロチョロ流れる音がして、小さな川が流れている。
一応、飲み水は2リッター確保はしてあるから、飲み水と言うより少し顔を洗おうと思った。
しかし、これがバカだった。
タオルに水を含ませ顔を拭き、おまけに体まで拭いてしまったから、もう寒いのなんの。
腕なんかまるで地震測定機みたいに震えて、これはヤバいんじゃないかと思い、急いで小屋に引き返した。

気温は分からなかったが、相当低いことは確かだった。
もし仮に、そのまま外に放置でもされたらと思うと恐ろしく、所詮人間なんて弱い生き物だなと思ってしまった。
急いでザックからシェラフを出し、潜り込んだ。

シェラフの中で体をガタガタ震わせて、少し落ち着くのを待つ。
少し立つと、幾分暖かくなってた。

小屋の外は騒がしく、風だろうか飛行機だろうか、轟々と物凄い音が響いていた。
しかし、さすがに体は疲れてたのか、疲れで足がつりそうになるのを我慢していると、次第に瞼が重くなってきた。
ここで一気に快眠と行きたかったが、そうは問屋は下ろしてくれなかった。
隣でガサゴソと相棒が騒がしい。

ガガガ、ドン!と扉を開けて外に出ていき、汲んで来た水を沸かしているみたいだ。
湧水を沸騰させて飲み水を作っているのであろうか、それが2回続いた。
良くそんな体力があるなあと感心しているが、疲れている僕にとってはちょっと災難だった。

しかし、もっときつかったのがやはり寒さだった。
その圧倒的な闇は、昼間の太陽の温もりを飲み込み、冷気を漂わせる。
シェラフが銀のマットから外れると、床から直接冷気が浸透してくるみたいで非常に寒い。
いかに銀のマットが大切か分かる。
モンべルのシェフラフは、鼻と口だけだして全てを覆うのは有難いが(これは良い)、やはりこの時期はもう一段上のスペックの方が良さそうだった。
仕方なく、銀のマットからはみ出ない様、体をくの字曲げて寒さを凌いだ。

utugidake202.jpg

日の出前に起床し、ヘッドライトを点けて山頂を目指す。
徐々に日が昇るにつれ、鳥の声なども聞こえてきて、山は生命感に溢れる。
一時間くらい息を切らして登れば山頂。

utugidake211.jpg
空木岳山頂


山頂に着いた時は、良い具合に太陽が昇りだした。
南アルプスの背後から太陽が昇ってくる感じで、駒ケ根の街並みを少しずつ照らしていく。
朝靄がとても幻想的で、晴天に感謝だ。


遠くに見えるのは八ヶ岳。下に見える建物は冬季閉鎖した駒峰ヒュッテ。

つかの間、森閑とした早朝の山頂を堪能し、目指す宝剣岳を眺める。
一見すると、そう遠くは無い気もするが、これが大間違い。
この先の縦走路で苦しめられることを、この時はそれ程感じなかった。


指の先のあの一番高いところまで行くよ

それにしても他の登山客が居ないから、本当に静かだ。
高く突き抜けた空に、旅客機が飛行機雲を引きながら飛んでいく。
まだ太陽も低く、光と影のコントラストを落とした山脈が立体的に見える。
光が当たるところは暖かく、逆に光が届かないところでは、あの夜の闇がまだ支配していた。

冬季閉鎖されている木曽殿山荘から、少し左に折れた所に水場が有る。
この水場は木曽義仲の力水と言い、一年くらい天下を取った徳川義仲が由来になっているらしい。


冷たくて美味い

やっと太陽も昇ってきて、日の当たる木洩れ日で朝食。
これから長い縦走路を歩くので、しっかりと腹ごしらえだ。


山荘の左に少し行くと水場が有る

よーし、飯も食ったしガシガシ登って行こう。
標高が高いから、登りではすぐ息が切れる。
ハアハアと息を切らせながら尾根を一つ一つ越えていく。

ハイマツと花崗岩が、日本アルプスらしい景観を演出している。
尾根の登りでは暑いのでアウターを脱ぎ、尾根のピークや下りではアウターを着る。

RIMG5141.jpg
ピークのアップダウンが続く

途中熊沢岳あたりで2人の登山客とすれ違った以外は、他に人は僕らだけだった。
誰も居ないピークはとても静かなのは、それが多分平日のせいもあるし、或いはシーズン終わりの為もあるのだろう。
しかし、北アルプスなんかに比べるのもアレだが、ちょっと地味な感じがするのは否めない。
あまり人が多すぎるのもそれはそれで嫌だが、人が居ないとやはりちょっと寂しい。
それと、コースの表示を書いた赤いペンキが消えかかっていたりと分かり辛い部分もあり、途中コースを外してしまったりもした。


前回登った甲斐駒ケ岳

目的地は見えているのに、まだまだ先は長そうだ。
日も高くなってきて、容赦なく太陽が照りつける。
時間もあっという間に正午になってしまい、まだまだ続くであろう尾根のアップダウンに舌を巻く。


後どれくらいピークを越せばいいのか

途中鎖場や、危険個所もあり、中々この縦走路は手ごわい。
そして長いロングトレイル。

ゴールが見えているのに、中々近づかないから、次第にうんざりしてきた。
例えば尾根を後3つ超えればと数えるんだけど、その間に死角になった尾根が存在する。
しかも一気に標高を落とすものだから、歩数的には歩いているが、距離的には進んでいないという現象が起きる。
何だか同じようなところをぐるぐる回っている錯覚に陥る。

うーむ、これは辛くなってきた。
いつもは予定時間より早いペースなのだが、どうも予定時間よりも僕らは少し遅れているみたいだった。
これはまともにランチを取る時間も無く、昨日と引き続きまたもやストイックな登山になってしまう。

相棒は何だか体力が続かないのか、かなり後方を歩いている。
極楽平を抜け、やっとやっと宝剣岳と千畳敷が見えてきた。
ここは一気に降る。


千畳敷

予定よりも一時間弱越えてゴール。
夕方になり霧が立ち込めたところで、相棒も足を引きずりゴール。
お疲れ様でした。

いやあ、今回は非常に苦しかった。
今まで登った山やルートの中でも3本指に入るくらいキツイ。
本来なら、ここは宝剣山登頂も含めた2泊3日がちょうど良いのだが、やはり日程の都合もあったから一泊にしたのだ。

数日前に上高地、それから今回の中央木曽駒。
長野に関しては、ここ一週間天気が良かったのが救い。

仮に、雨などの悪天候だったら、これはもう苦行に近かっただろう。
ともあれ、まあ無事に下山出来たことがなにより。

僕にとって、カメラのデータをPCに落とすまでが登山なのだ。

 

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