今年初の渓流は奥秩父でヤマメを狙うことになった。
大体、いつも山梨ばかりなので、やった事がない場所にしたのだ。
武甲山や両神山を登ったときなど、山中になかなかの渓谷があり、その川を除くと渓流魚を確認する事ができた。
東京を3時に出て関越を北上する。
最近は、なかなかシーバスが釣れないので、綺麗な渓流でヤマメに癒してもらおうと。
花園インターを降りると既に空は明るく、日の出の早さにもう少し早く出ればよかったと少し後悔。
セブンイレブンで1800円の遊漁圏を購入し(最近はスマートフォンのアプリケーションでも購入できるとの事)、期待を胸にポイントへ向かう。
最初に入る川は、両神山を水源とした小森川という小さな川へ入る。
Googleマップで確認するのだが、実際に現地に行ってみないとどんなものか分からない。
そして、天気はとても良いが、この日の朝は気温4°Cと真冬に逆戻りしたみたいに寒い。
川の下流辺りから確認できたのだが、やはり水量が全体的に乏しい。
ある程度水量が無いと魚は物陰に隠れてしまって、なかなか口を使ってくれない。
それでも、折角来たのだからやってみようという事で竿を出した。
しかし少し川を遡上すると、淵の辺りで餌釣りしが竿を出してたので、即刻小森川を後にするしか無かった。
奥秩父とは言え、容易にアクセスしやすいためにアングラーは少なく無く、特に餌釣りしは椅子に腰掛けて一つのポイントで竿を出していたのが散見した。
少し南下して、荒川の支流の大血川に入る(名前が物騒だけど)。
ここも水流が少ないのを見ると、降水量が少ない為なのであろう。
仕方なく、さらに途中の支流へ移動する。
それにしも今日は後楽日和だ。
風もなく、新緑が眩しく川面からのミソサザイの鳴き声も美しい。
たまにこんな自然が豊富な所に来ると、心が落ち着くものだ。
林道は緩やかな傾斜になっているので、上流へ行くのはちょっとした山登りだ。
僕もそうだが、相棒は普段の運動不足からか少し弱音を吐いていた。
日が登ると気温も上がってきて、早朝の寒さはどこかえへ消えてしまった。
ここからやっとまともに釣りができる。
慣れないバックハンドキャストを試しつつ遡上していく。
今回からのメインラインはナイロンラインではなく0.4号のPEラインを使うことにした。
やはりルアーフィッシングには感度の観点からPEラインを使うのが何かとメリットがあるのだ。
やっとここに来て魚を確認できたので、もう少し遡上を試みる。
ただ川面を飛ぶ虫は目立つのだけど、ライズする様子は感じられない。
あまり生命感を感じないが、全く魚が居ないわけではなさそうだ。
前を行く相棒が、いきなり「ぎゃー!」と雄叫びを上げた。
思ってもみない所でまだ婚姻色が残るイワナがバイトしてきたが、油断してたのでバラしてしまったらしい。
やっと魚とのコンタクトを得たみたいだが、僕には魚の気配すら感じられない。
いやあ、でも水は冷たいが綺麗だし、木々の緑が気持ちがいいなあ。
久しぶりの渓流なので、ルアーを投げているだけでも楽しい(釣れればもっと楽しいが)。
いかにも魚が着いていそうな淵や、堰を狙ってもチェイスすら出ない。
春先のトラウト釣りは結構釣るのが難しいらしい。
まだ水温も低いし、やはり水量が少ないのが一番の原因なのだろうか。
あまりダラダラと釣りをするのも如何なものだし、昼も近いし一旦上がって休憩を摂ることにする。
支流の分岐あたりの『源流うどん』というのぼりが立っていたが、途中の川にある釣り堀が営業してる食堂の事であった。
そこでうどんを食べることにした。
それほど期待してなかったが、そこらで採れた山菜の天ぷらも、腰のあるうどんも、一つ一つ手作りで素朴な感じでとても美味しかった。
先に食堂にいた若い男女のグループは、隣接する釣り堀で餌釣りをしていた。
すると、キャーキャー言っていきなり虹鱒を釣り上げていた。
こちらは午前中からウェーダーを履いてせっせと川を遡上しながら竿を出しているが、ただの1尾も釣れてないのに、何というギャップなのだろうかと少し可笑しくなってしまった。
しかし、ここで相棒が店の店主らしき人から情報を聞き出していたのは流石だ。
やはり、ルアーで狙うなら本流で竿を出した方が釣果に結びつくとのことで、いくつか川へのアプローチを聞いていたのだ。
いざ、荒川本流を除くと、いかにも長瀞感が出ていて、観光地の川という感じが否めない。
しかも、既に餌師が釣りをしていた。
それにして、ここがいつもシーバス釣りをしている荒川河口の上流なのだと思うと感慨深いものがある。
河口付近でシーバスを釣って、上流部でヤマメを釣るという何とも贅沢だが、そう簡単には行かないのが釣りなのはよく分かっている。
もうこうなったらとことん上流を目指し、荒川の支流の中津川へ向かった。
流石に疲れたので小一時間仮眠して、起きて時計を見ると既に16時近くだ。
渓流の釣りは日没までなので、猿に見送られそそくさとウェーダーを履いて川に降りる。
流石に本流で、今までよりも水量が多く何だか釣れそうな気がした。
相棒は「本流は基本ダウンストリームだ」というが、下流へ下るのが少し困難そうなので、少しずつ上流を遡上し打っていく。
川幅が広いのでロッドも降りやすく、アップクロスでルアーを流すのが楽しい。
さあ!何か食ってきてくれ!とミノーを流していると、キラっと光るものがルアーのエデンに食い付いた。
20センチ前後のヤマメであった。
小さなヤマメだけど、ルアーに食い付いて来てくれた事が嬉しいしではないか!
一応、本命をキャッチできたのでノルマは達成。
さらに、深場でのアップで小型ヤマメを二匹掛けたがフックアウト。
最後の方になっていい感じだ。
最後に流れの速い瀬の所で、良型のヤマメのバイトと粘って小型を1尾追加して終了。
相棒も同クラスを2匹キャッチし、日が暮れて納竿。
わざわざ東京からこんな山奥に来て、小さいヤマメが2匹しか釣れなかったと思うか。
それとも、頑張って2匹釣れたと思うか。
僕はもちろん後者だ。
相棒は、もう少し体力を付けないとダメだなと漏らしてたが、確かに渓流釣りは見た目より遥かに過酷な釣りである。
水量が豊富な時に、また奥秩父の渓流を訪れてみたいと思う。